imotaro

まず始めに。

富土通氏、おめでとう。

すさまじい記録、まったく勝負にならなかった。

そのすさまじい記録に関してはきっとご自身が書いてくれるであろう。

私は私の記録を書こう。

 

【2023年川越ハーフマラソン(ガーミンの記録)】

1㎞ 3:59

2㎞ 4:03

3㎞ 4:06

4㎞ 4:04

5㎞ 4:01

6㎞ 4:02

7㎞ 4:01

8㎞ 4:01

9㎞ 4:02

10㎞ 4:03

11㎞ 4:05

12㎞ 4:07

13㎞ 4:09

14㎞ 4:07

15㎞ 4:09

16㎞ 4:05

17㎞ 4:11

18㎞ 4:03

19㎞ 4:11

20㎞ 4:07

21㎞ 4:03

+α

合計 1:26:36

とんでもない記録が出てしまった。

自分でも驚いている。

正直、自分にこのタイムを出せるほどの走力があるとは思わなかった。

 

しかし、今回の川越マラソンは不安との戦いだった。

まず、スタート地点。

富土通氏に促されるようにゼッケンA集団(一番前の集団)の前の方に陣取る。

自分としては最初は4:10~4:15くらいで行きたかったので、A集団の後方が良かったのだが。

そして、スタート。

前を行く富土通氏に5m程度遅れてついていく。

自分の感覚では4:10~4:15くらいで行ったつもりだった。

が、1㎞地点で驚愕のタイムをガーミンが知らせる。

3:59…

これはヤバいと思った。

そんなに速く走ってるつもりがないのにまさかの4分切り。

(ヤバい、これは本番で舞い上がってハイペースになってるぞ…)

この時点で、富土通氏についていくのを辞める。

間違いなく今の自分にはこのペースで21㎞を走り切る力はない。

(安定したペースを作っている人にくっつこう!)

走り方や服装がいかにも「ランニング中毒」という中年のランナーを見つけた。

歳は50代半ば~後半だろうか。

おそらく私よりも一回りくらい先輩だ。

こういうランナーは経験豊富だから、きっと21㎞を同じようなペースで走ってくれるだろう。

後ろにくっつくと、明らかに富土通氏が作っていたペースよりも落ち着いた。

(うん、おそらくこれがイーブンペースだろう。4:10前後のはず。)

そう思った。

が、間違いだった。

そのカッコいい帽子のベテランランナーの実力を芋太郎は完全に見誤った。

そのランナーは間違いなく経験豊富でイーブンペースを作り出していた。

冒頭に書いた記録の2㎞~10㎞を見て欲しい。

かなり安定したタイムを刻んでいる。

カッコいい帽子のベテランランナーについて行ったおかげだ。

が、これは芋太郎が望んでいたペースではなかった。

帽子のベテランランナーは芋太郎よりもレベルがだいぶ高かったのだ。

10㎞地点でようやく気付いた。

(このままこの人について行ったら爆死する!!)

帽子のベテランランナーは、いつの間にか女子60歳以上のマラソン世界記録達成の弓削田選手と並走していた。

つまり、私も弓削田選手のすぐ後ろをしばらく走っていたわけだが…

(弓削田選手と走れるなんて感動だ!!)

とは思わなかった。

むしろ、ムチャクチャ不安が募った。

(弓削田選手ってフルはサブスリー、ハーフは85分とかだよな…。ぜんぜんレベル違うじゃん!!ペース落とさないとヤバいじゃん!!)

11㎞前後で帽子のベテランランナーさんと弓削田選手に別れを告げた。

(もう私は一緒に走れません。現実考えて、このあたりで遅れます…)

 

11㎞からはついていく人も見つけられず、1人で走る時間が長くなった。

今までに経験したことがないペースで10㎞まで走ってしまい、一体あとどのくらい足が残っているだろうか。

とにかく4分10秒よりも遅いペースに落とさないと絶対にどこかでガス欠するぞ…

不安ばかりが募っていく。

しかし、いったん上げたペースはなかなか下がらない。

下げたと思っても4分10秒を切ってしまう。

いや、自分の中に「ペースを落とさないといけない…」という気持ちと同時に、「ペースを一度落としてしまったら気持ちがやられるんじゃ…」という気持ちもあったのだ。

(4分10秒前後に落とせればいいが、一気に4分20秒オーバーになったらそれこそ終わりだぞ…。まだまだ距離はあるんだから。。)

そういう不安も同時にあったのだ。

 

13㎞~14㎞地点。

ある思考にたどり着く。

(90分切りまでだいぶ貯金があるはず。とりあえず15㎞地点まで4分10秒切りで走れれば、残り6㎞を4分20秒で走っても90分切りは行けるだろう!細かい計算はできないけど…。)

とにかく15㎞までは4分10秒切りで走ろうと決心する。

15㎞までそれで行けば、残り6㎞は貯金を食い潰しながらも何とか90分を狙えるはず!

そして、芋太郎は再び安定したペースを刻んでくれるランナーを探し始めた。

その瞬間、救世主が現れた。

歳は60代半ばであろうか。

真っ赤な服装をした完璧なベテランランナー。

かなりの筋肉質でガシガシ力強く走るランナーが私の後ろから現れた。

(この人を逃したら、90分切りはないかもしれない!!)

必死にくっついた。

嫌がらせレベルでぴったり後ろにくっついた。

(頼むから俺をおいてかないでくれー!!)

そんな気持ちだ。

この赤のベテランランナーは素晴らしいペースを刻んでいた。

川越マラソンは後半に嫌がらせレベルの上り坂が連続する。

苦しい時の登り坂で周りのランナーは一気にペースが落ちる。

私も1人だったら、気持ちが萎えて一気にペースダウンしていたことだろう。

事実、去年は後半の上り坂区間は4分20秒後半のタイムになってしまった。

が、今年は赤のベテランランナーさんのおかげで落ちても4分11秒までで抑えられた。

 

終盤ラスト2個目の心臓破りの坂、平塚橋。

赤のベテランランナーに必死について下っている時、まさかの声を聞いた。

「〇〇さ~ん、ファイト!!」

(〇〇さんか…俺と同じ苗字の人が近くにいるんだなァ…。)

一瞬、そう思った。

こんなところで自分のことを応援してくれる人もいないだろうから、まさか自分のこととは思わなかった。

が、念のため声の聞こえた反対車線を見てみた。

反対車線が折り返し前のランナーが走っている区間だったのだ。

・・・運転手さん!!

なんと、長男の幼稚園バスの運転手さんが私を見つけて応援してくれたのだ。

いつもと格好の違う私を自分自身も走っているのに見つけてくれたのだ。

もはや体力も限界に近い私は声は出せなかった。

腕を上げて答えるのが精いっぱいだった。

が、闘志は燃えて来た。

(運転手さん、俺はやるぜ!!残り3㎞、ギリギリまで攻めるぜ!!)

散々お世話になった赤のベテランランナーに別れを告げた。

ここまで来たら、ペースとか関係ない!!

振り絞れるだけ振り絞るだけ!!

18㎞区間でスパート。

ラストの心臓破りの坂区間の20㎞も何とか耐える。

そして、ラスト1㎞。

走り方とかもはや関係なし。

毎年家族が応援してくれているゴール500m前のセブンイレブンまでとにかく足を必死に進める。

そこまで行けばようやく終わる。

そこまで行けば家族の顔を見ることができる。

家族の顔を見れば、最後500mのパワーをもらえる。

セブンイレブンまであと100mくらいだろうか。

家族の顔が見えた。

子ども達が私の姿に気付いたらしい。

応援する声が聞こえる。

不思議なものでこの100mだけは疲れを忘れる。

レースを走って来たことも忘れる。

(このために俺は走って来たんだ。)

そんな気持ちで子ども達が差し出した手を叩いた。

残り500m、90分切りは確実だ。

あとはどこまで記録を伸ばせるか。

脚はすさまじく重い、自分でも足が上がってないのがはっきり分かる。

必死に手を振って無理やり走ってる感じだ。

それでもガーミンのラップは4:05を示している。

このまま行けばスゴイ記録が出せるんじゃ…

と思った瞬間、ガシガシ音が聞こえて来た。

まさかの赤のベテランランナーさんだった。

最後の最後、18㎞地点で置いて行ったと思ったその人はゴール前で私を悠々と抜いて行った。

私の最後の区間のラップが4:03だ。

おそらく赤のベテランランナーさんは4分切りのラップであろう。

あの年であの走り…

世の中、上には上がいる。

脱帽だ。

 

富土通氏には完敗だったが、自己ベストを大幅に更新できた。

ブログタイトルの「3か月」はもはや守られていないが、「90分切り」は今年は何とか守った。

来年は…

だいぶ記録が高騰してしまった。

90分切りではつまらない気もする。

こうなったら「6か月で85分切り」とかにした方がいいのか。

とりあえず、今週はもう走りたくない。

お尻から太ももが筋肉痛でボロボロだ。

川越マラソンを走られた方々、お疲れさまでした。

だいぶ長い記事になってしまった。