imotaro

保護者ランはなかった…が、そんなことはどうでも良し!

気合を入れた服装で娘の幼稚園のマラソン大会に向かった。

会場についてすぐに嫌な予感はした。

まず、走る格好の人がものすごく少ない。

目算で10人を切るレベルでしか走れる格好の保護者がいない。

一応、強敵となりそうな人がいないかチェックしたが、全くいなかった。

強敵が全くいなそうだ、という安心感よりも、「なぜにこんなに皆さん普段着で応援に来ていらっしゃるのか…」という不安の方が大きい。

とりあえず、妻情報によると保護者ランは園児たちが走り終わってから、ということなので応援に専念することにした。

最初は年中男子。

次は年中女子。

ウチの子供たちはこの学年にはいないのでここは気楽に応援。

このくらいの年齢だと男子の方が速い、というわけでもなさそうだ。

ただ、面白いことにこんな小さい年齢のときから頑張れる人と、頑張れない人というのが分かれている、ということ。

やはり上位で来る園児たちは必死だ。

本当に体力の限りを尽くして走っている。

今にも泣きそうな顔で走っている男子が一位だった。

上位で来る園児たちに余裕の表情はない。

体を目いっぱい使って最後の力を振り絞ってゴールに雪崩れ込んでくる。

一方で下位の園児になればなるほど、表情に余裕が見える。

ゴール近づいた時だけラストスパート。

余力を持ってゴール。

この年齢にしてこれだけの差がついているのか。

体力の問題ではない。

意識の問題だ。

自分を追い込む意識。

いや、自分自身に甘えを許さない意識かもしれない。

もしくは誰かに負けたくない意識。

これが今後、小学生、中学生・・・社会人と続いていくのであればものすごい差であろう。

そう考えると、私が学生の頃に必死に追っていた偏差値1,2の差など、とんでもなくちゃちなものに思える。

年長の男子が終わり、私の長女が走る年長女子の部になった。

妻の話によると昨年は長女はぜんぜんダメだったらしい。

練習の段階からタラタラ…。

昨年は妻が観戦に行ったが、ビリから数えた方が早いくらいだったとか。

今年は練習の段階ではずいぶん頑張っているということを本人から聞いていた。

ただ本人は多少自分のことを過大評価する子なので、話半分で聞いていた。

長袖、長ズボンを履く子もいる中、スタートラインに立つ長女は半袖半ズボンの気合の入った姿だった。

スタートの合図が鳴り、一斉に年長女子の園児たちが走り出す。

これはどの学年もそうだが、園児たちのスタートダッシュは速い。

誰一人ペースなどまるで考えてないかのように走り出す。

私の娘ももちろん同じ。

広い園庭を3周走るコース。

目算で一周300m~400mだろうか。

全部で1.2㎞~1.5㎞くらいになりそうだ。

園児にしてはずいぶん長い。

それにアップダウンが激しい不整地だ。

一周目が終わって娘がやってきた。

驚いた。

前から5番目で私の前を通過した。

私の姿を確認した娘は少しだけ私に微笑みかけて前を見て走り去っていった。

あんなに頑張っている娘を見るのは初めてだ。

あの子の中にあれだけの闘争心というか、負けたくないという気持ちが眠っていたとは。

そういえば前日の夜、「一位を取りたい。」と言っていた。

話半分に聞いていた。

親を喜ばせるために言っているんだろう、そのくらいで聞いていた。

どうやら本気だったようだ。

二周目が終わり再び娘が5番目でやってきた。

相当疲れている。

私の声掛けに気づいて一瞬目を合わせたが、今度は微笑む余裕がない。

足もずいぶん上がらなくなっている。

これは最後の一周でずいぶん抜かれてしまうかもしれない。

後半やられるときの苦しみは私にも多少は分かる。

すでに頑張ってる人に対して言う言葉ではないが、「頑張れ」と思わず言ってしまう。

ラスト一周が終わり最後のゴール地点に娘がやってきた。

なんと5位をキープして私の前を通り過ぎた。

私の応援に何も反応できないくらい疲れている。

明らかにエネルギーがなくなった力のない走り。

ゴールまで残り30mあたり。

娘は後ろから来た二人の子に抜かされた。

7位でゴール。

5位までが表彰だということで、娘は惜しくも表彰状を逃した。

彼女にとっては残念だったかもしれない。

でも、私は何一つ残念だと思う気持ちはなかった。

彼女があんなにも自分の力の限り頑張れる人間だったとは知らなかった。

それを知ることができただけでも、とても有難い一日になった。

今のこの状況。

マラソン大会ひとつ開催するのも大変だと思う。

今回の大会も例年は一斉スタートのところを学年に分けて、さらに男女に分けてスタートをさせるなど、幼稚園の先生方も工夫をされていた。

いろんな意見があり、私の意見が世間一般から見て正しいなどとは一切思わない。

が、今回、幼稚園がマラソン大会を開催してくれたことに本当に感謝をしている。

娘があんなにも頑張れる機会を作ってくれたこと。

そして、それを私に見せてくれたこと。

保護者ランは結局なかったが、そんなことはどうでもいい。

大変励まされる一日となった。

翌朝、5キロタイムトライアルを敢行する!

さすがに娘が頑張った手前、忙しいとか、疲れているとか言ってられない。

昨夜は酒の量もかなり少なめにして早く起きた。

仕事が溜まっているのは仕方がない。

当たり前だが経営者として守らなければいけないものもある。

が、昨日の娘の頑張りを見てどうしても追い込みたい気持ちが今朝はあった。

10㎞は時間的に無理でも5㎞くらいは走ろう。

どうせやるならタイムトライアルで。

今シーズン初の5㎞タイムトライアルを敢行した。

5㎞のタイムは22分03秒であった。

今の自分の力としてはなかなかのタイムだ。

やはり人間気持ちの部分が大きい。

今日のランは完全に昨日の娘に刺激を受けた影響だ。

最後に偉そうにまとめてしまうが、スポーツというのはやはりいいものだ。

誰かの頑張る姿が誰かに力を与えるというのが確実にある。