サッカーマンと一騎当千ランナーが芋太郎を追い込む

本日のランの結果から

最初の1キロを見て欲しい。

明らかに今日はやる気がなかったのだ。

昨日の「何となくインターバルっぽい走」の影響か、わりと体が重く足も少し筋肉痛を抱えている感じ。

タラタラ10㎞走ろうと思っていたのだ。

しかし…2㎞地点でいつものつなぎラン程度のスピードに変わり、そして3㎞過ぎからは4分台を刻み続けた。

なぜ?

今日は芋太郎とある二人の男のドラマを語りたいと思う。

サッカーマン登場

今日は本当にやる気がなかった。

だから1.3㎞地点で一回止まり、ズボンの紐を結びなおして靴紐を結びなおして…。

いつもは多少違和感があっても、とりあえず信号待ち以外は止まらないのだが、やる気ゼロに近かったのでこの先も何回も止まってやろうと考えていた。

紐を結ぶ私の横を一人のランナーが通り過ぎた。

サッカーマンだ!

サッカーマンとは「明らかにサッカーをやっています」、という上下サッカー的ユニフォーム的服を着ている人の総称なのだが、今日私の横を通り過ぎたサッカーマンは、アルゼンチン代表っぽい服だった。

髪はバンダナで縛り、肩を前後にぐいぐい出しながら上下動がそこそこ激しいフォームで走り去った。

表現が難しいが、いかにもサッカーマンらしい走り方だ。

わりと速そうに見えるが、長距離の走り方ではない。

ランニング中毒者の走り方ではない。

決めた!

コイツは今日の私の獲物だ!

おそらくあのスピードだとキロ5分フラット程度。

そしてあのサッカーマン的走り方だとせいぜい持って2㎞か3㎞と見た。

紐を結びなおした芋太郎は入間川沿いの自転車歩行者専用道を行くサッカーマンを追い始めた。

それが1.3㎞地点。

サッカーマンと芋太郎の距離、さらにガーミンが示すラップから、やはりサッカーマンの速度はキロ5分程度と判断。

2㎞~3㎞地点からペースを上げる。

4分台に入ればサッカーマンとの距離は縮まるだろう。

そしておそらく4㎞過ぎからサッカーマンはペースを落とす。

5㎞までには逆転するはず。

が、芋太郎の読みは完全に外れた…

サッカーマンは芋太郎が思っていた以上に速かった。

キロ4:40~4:50程度で走っていたのだ。

芋太郎は坂道の上りが割と強いのでそこでは詰まるのだが、サッカーマンは下りが強いらしくそこで距離が離される。

それでも徐々にだが距離が詰まってきたところで4㎞地点。

芋太郎とサッカーマンとの距離、およそ50m。

サッカーマン、走りに疲労が見える。

チャ~ンス!

芋太郎がペースを上げようと思ったそのとき、サッカーマン振り返る。

そしてなぜかペースを上げる。

明らかにスパートのフォームになる。

サッカーマン…、芋太郎のこと意識してたのね…。

さすがにサッカーをやっているだけあってスパートは速い。

走り方が全然違う…

芋太郎、あきらめる。

流石にあのスピードにはついていけない。

それに芋太郎は折り返してあと半分の5㎞が残っているし。

入間川沿いの自転車歩行者専用道の切れ目。

ここがちょうど芋太郎のコース的には5㎞地点になるのだが、サッカーマンは折り返さずに橋を渡っていった。

スパートが終わり完璧に戦いを終えてジョグで橋を渡っていく。

サッカーマン…次に会ったときには覚悟しろ。

次はキロ4:30以内で追いかけ続けてやるからな。

今度はブラジル代表のTシャツで現れることだな。

今日のところは私の負けだ。

さらば、サッカーマン!

アナタのせいでペースが上がってしもうたぞ。

芋太郎はあと半分あるんだからね?

どうしよう…。

一騎当千ランナー登場

ランニングをしている人なら分かると思うが、いったん上げたペースというのはなかなか落とせない。

逆に遅く入ったペースを上げるのもなかなか難しい。

サッカーマンに吊り上げられたキロ4分台から落とせないまま7㎞地点にたどり着いた。

前方に明らかに陸上経験者…いや、もしかしたら現役の競技者かもしれない感じの人が現れる。

芋太郎の7㎞地点はちょうど大きな橋がある場所で、ここから走り始める人も多いのかもしれない。

背中に一騎当千と書かれたTシャツを着ているその強者っぽい人は、何やら今からランニングを開始する様子で歩いていた。

サッカーマンに吊り上げられたペースのまま、歩くその一騎当千ランナーの脇を通過。

「頼むから同じ方向に走り出さないでね。あぁ、でもこの感じはレベルが違うから別に同じ方向でもすぐに抜いていくかな?」

そんなことを考えながら、ペースを維持して走っていると…

聞こえる。

足音が聞こえる。

明らかに軽い足音。

そして、芋太郎とはぜんぜん違うリズム。

一騎当千ランナー…こっちに来たんかい!?

どうせすぐに抜くだろう。

芋太郎が道の脇に寄る。

「お先にどうぞ。」

サッカーマンに苦しめられたその体で精いっぱいの気持ちを見せる。

抜いてこない!?

一騎当千ランナー…何を思ったのか完全に芋太郎をマークしている。

いやこれは体のいいペースメーカーというヤツですか!?

いやいやいやいや、レベル違うっしょ?

やめてって、ソレ、やめてって!

煽り運転だよ、ソレは。

ちょっと振り返ると、一騎当千ランナーはめっちゃ軽い感じでジョグってる。

ダメだよ~それは。

ペースメーカーにしないでよ~

アナタ、私の事情知らないでしょ?

私、さっきまでアルゼンチン代表の服着たサッカーマンと戦っていた、か弱きランニング初心者よ?

あなたどこかで陸上やってた、もしくは現役でやってる。

世界が違うじゃない。

走り方だってまるで違うじゃない。

こんなに近くで走ってたら、恥ずかしいのです、こっちは。

あなたの走り方と比較したらどんだけ芋臭い、どん臭い走り方に見えることか…。

信じられないことに、この一騎当千ランナーは最後の3㎞ずっと芋太郎の後ろをついて来た。

完璧にペースメーカーになってしまった芋太郎の最後の反抗は、最後の一キロ少しだけペースを上げたところに現れている。

ちょっとだけペースを乱してやろうと思ったのだ。

私がランを終えてすぐに一騎当千ランナーが過ぎていく。

全く涼しい顔で「ふーん、ペースちょっとだけ上げた?そりゃどうも。」くらいの感じだった。

お互いの視線が合う。

なぜだか私が頭を下げる。

何となく「こんな私に3㎞も付き合ってくれてありがとう!」みたいになってしまうから不思議だ。

過ぎ去る一騎当千のシューズを確認。

ナイキの例のヤツだった。

そりゃ走り方違って当然。

そりゃ足音違って当然。

最後に一言いわせてもらうが、もう二度と私の後ろにつかないでください!

訳の分からないプレッシャー感じて過度に追い込んでしまうので。

言いながら気づく。

自分はサッカーマンに再びあったら、対抗心バリバリで後ろにつくであろうことを。